腫瘍内科とは
がんの治療にあたっては、患者さまの症例に合わせて外科的治療、放射線治療、内科的治療を進めていきます。がんの進行度や全身状態はそれぞれ異なりますので、それぞれの治療のメリット・デメリットを勘案しながら、最善の方法を模索していくのです。
腫瘍内科は、このうち内科的治療を中心に行う診療科です。米国では広く普及しており、内科系の中では最大規模の医師が携わっているのですが、日本国内において腫瘍内科を標榜している診療所は少ないのが現状です。
もっとも、西暦1990年ごろから抗がん剤の開発が急速に進み、最近は外科切除を行わなかったり、低侵襲的な外科手術で抗がん剤による化学療法をメインに据えて治療をすることも増えています。治療効果も飛躍的に改善し、手術不可能な症例であっても化学療法によって腫瘍を縮小させ、生命予後を伸ばすことも不可能ではなくなってきました。
腫瘍内科の役割について
このように内科的治療の果たす役割が重要となっておりますが、同時に、患者さまそれぞれの症例に適合した薬物療法を行うには、複雑かつ高度な知識が必要となります。分子標的薬など、高い効果が期待できる新薬が次々と臨床応用できるようになりましたが、これに伴って副作用も多様化し、ときには重篤な副作用が出現することもあるのです。バイオマーカーに立脚したがん医療の個別化も薬物療法を複雑にしています。
腫瘍内科では、こうした副作用を軽減できるよう十分に留意し、最大限の治療効果を得るための治療を進めていく役割を担っています。そして、必要に応じて他の専門診療科、とりわけ放射線治療科や緩和ケア科とも連携し、患者さまにとって最適の治療をコーディネートしていくのです。
腫瘍内科の主な対象領域
- 抗がん剤治療が有効ながん全般
- がんによる様々な苦痛を減らす治療
- 複数の治療法があり、選択に迷うケース
- 2つ以上の部位にがんがある場合
- 複雑な副作用の管理が必要な症例
- 原発不明のがん、希少がん
- がん以外の合併症(糖尿病、腎臓病、心臓病など)があるケース
など
当院では疼痛緩和なども行います
当院では、信州大学医学部と同附属病院でがんに関する研究・臨床経験を積んできた院長が中心となり、がんの各種ご相談にのります。院内での治療が難しい領域に関しては、信州大学医学部附属病院、信州上田医療センターなどの専門施設と連携して対応してまいります。
終末期の患者さまについては、痛みを緩和するための治療も提供しております。がんは生命予後に大きな影響を与えることもある疾患ですが、疼痛を和らげることによってQOL(生活の質)の改善につなげることが出来ます。詳しい内容は当院までご相談ください。